アスベスト健康被害Q&A


Q 労災保険給付や石綿健康被害救済制度によって給付金を得た場合、国から建設型アスベスト給付金や工場型アスベスト賠償金を得ることができないのでしょうか?

A 労災保険給付や石綿健康被害救済制度は、工場型アスベスト国家賠償訴訟や建設型アスベスト給付金とは別個の制度ですので、労災保険給付や石綿健康被害救済法に基づく給付を受けている方でも、賠償金や給付金を受け取ることは可能です。

Q アスベスト製品の製造・加工をする「工場」でアスベスト粉じんばく露作業に従事していた場合には、建設型アスベスト給付金の得ることができないのでしょうか?

A アスベスト製品の製造・加工をする「工場」でアスベスト粉じんばく露作業に従事していた方は、建設型アスベスト給付金を得ることができません。その反対に、アスベスト含有建材を用いて「建設」作業に従事したことによって、アスベスト粉じんにばく露した元建設作業員やその遺族の方については、工場型アスベスト国家賠償訴訟については対象外となります。

Q アスベスト製品の製造・加工をする「工場」でアスベスト粉じんばく露作業に従事していました。いつまでに、国に対して、損害賠償を提起する必要があるのでしょうか?

 アスベスト粉じんばく露作業に従事したことを理由として国に対してその賠償を求める場合、国家賠償法4条により、民法724条が準用されます。

 したがって、消滅時効は、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」、「不法行為の時から20年間」ということになります。

 ただし、アスベスト訴訟の場合には、民法724条の2により、「人の生命又は身体を害する」不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、「5年間」とされており、改正民法施行日(2020年4月1日)の時点で、改正前民法の消滅時効(3年間)が完成していない場合には、改正民法の規定が適用され、消滅時効は「5年間」となるとされます。

 そのため、「被害者又はその法定代理人が」「損害及び加害者」について、2017年3月31日以前に「知った」場合には3年の時効となり、2017年4月1日以降に「知った」場合には5年の時効となります。